フットケアコラム

足の爪が厚い方へ ~それって肥厚爪かも~

最近、『靴がきつくなったなぁ~』と感じたことはありませんか?
もしかしたら爪が厚くなっているのかも…
足や手の爪が分厚くなる状態のことを肥厚爪(ひこうつめ)といいます。基礎知識として、通常爪の厚みは1㎜~3㎜と言われています。爪に厚みがあるとまっすぐに伸びず上や横に伸びてしまい爪が変形してしまう場合もあります。
このコラムでは、あまり知られていない肥厚爪の原因や予防法についてご紹介していきます。


目次
1.肥厚爪の主な原因について
2.肥厚爪の問題・リスクについて
3.なぜ肥厚爪に気が付かなかったのか
4.88の経験と実績
5.まとめ


肥厚爪の主な原因について

なぜ爪に厚みが出てしまうのでしょうか。

長期間にわたって爪に何らかの圧力が加わった。

爪の先へ物理的な負担がかかる自分の足に合わない靴・窮屈な靴(ハイヒール)を履き続けてしまっている。

深爪の習慣化

深爪にしてしまうと歩行の際、指先のお肉部分が地面からの圧力により固くなり爪が伸びにくくなってしまう。

加齢

爪の上に物を落としたり、ぶつけてしまう。一度爪が剥がれた、内出血を起こした。

外傷

歩くことで爪の横の皮膚に圧力が掛かり、爪が入り込むこを防いでくれています。

爪白癬(爪水虫)

爪部への真菌(カビ)感染。自覚症状がないため爪回りやつめの間の角質が増殖し厚みが出てしまう。 皮膚科へ受診し顕微鏡検査をしてもらう。

爪甲鉤彎(こうわん)症

巻爪の一種で爪が角のような鉤型に曲がり分厚くなり外圧で痛みがでる場合がある。爪が固く爪切りでは切りにくい。

肥厚爪の問題・リスクについて

・靴を履くたびに痛みが出てしまう。
・爪の中が空洞になり割れて剥がれやすい。
・靴下の着脱の際、引っ掛かり剥がれやすい。
・履け布団に引っ掛かりやすい。
・足指に力が入らず転倒しやすい。
・角質が溜まりやすく足が臭くなる。
・人前で素足になれない。
・歩行姿勢が悪くなり、足首・膝・腰などの痛みを併発する場合がある。
・外出したくない。
・爪白癬により感染症併発のおそれがある。
などがあります。

肥厚爪に気が付かなかったのか

では、そもそもなぜ爪に厚みがでるまでなぜ気が付かなかったのでしょうか?
短期間で爪が厚みを増す事は考えづらいので、私共のお客様に詳しくお話を聞かせていただいたところ…
・いつの間にか厚くなっていた。
・命に直結しているわけではないので違和感を感じても後回しにしてしまった。
・靴下を履いているのであまり爪を見ない。
・少し痛くても我慢できる。
・加齢で当たり前。
・しばらく爪を切っていなかった。
・足の爪に興味がなかった。
確かに、爪に関しては優先順位が低いのかもしれません。
ただ、爪にトラブルを抱えてしまうと、日常生活が送れなくなってしまう可能性があることを知っていただきたいと思います。

弊社の経験と実績

《お客様A 女性 80代》

お一人暮らし。デイサービスは週に1回。お風呂もお一人で入浴。 お料理が好き。
ご近所にお友達も多く、良く皆様でランチを楽しんでおられたそうです。朝のお散歩もされておられアクティブな方。 最初は、靴が合わなくなってきて1サイズ大きくしたそうです。それからしばらくして、腰の調子が悪くなり成形外科や鍼治療などに通うようになったそうです。病院通いが忙しくなりお友達ともだんだんと会わなくなり、お買い物も面倒になり短時間で済ますようにしたそうです。その頃、膝も痛み出し病院通いから訪問マッサージに変えた時期に、靴下が履きづらくなり足爪を見たら爪が黄色で厚みがありびっくりしたそうです。ただ、ご自分で爪を切ることが出来なくなっておられたので私共のお客様になっていただくまで、1年以上放置状態だったそうです。靴を大きいサイズにした時期に少し爪がおかしいなと思っていたそうですが大丈夫だと思い気にしなかったそうです。もしかしたら靴が合わなくなった原因の一つが爪だったのかもしれません。
現在は、月に1度、訪問させていただき爪切りのケアをいたしております。今後の目標は散歩をすることだそうです。
※ 靴のサイズが大きいと靴の中で足が動いてしまい爪先に圧がかかり肥厚した可能性があります。歩行姿勢も崩れるので腰に負担がかかっていたのかもしれません。
以前のように外出が出来るよう爪切りケアをかんばります。

《お客様B 女性 90代》

お一人暮らし(お嬢様が同じマンションにお住い)。デイサービスは週に3回。入浴はデイサービスでご利用される。歩行時は歩行器を使用。訪問リハビリ週1回利用。
とてもにこやかで穏やかな方です。お嬢様からのご依頼で月に1回、訪問で足爪ケアをさせていただいております。両足10本共、爪白癬の肥厚爪でした。指先の血行も悪くとても歩きにくそうだなというのが第一印象でした。しかし、回を重ねるごとに指先も血色が良くなり、爪白癬も病院からの処方薬を使用され少しづつキレイになってご本人様はもとより、お嬢様が大変喜んでおられました。お嬢様から「先日、リハビリの先生から最近しっかりと歩けていますよ!足の指に力が入ってきましたね。と言って
いただけたのよ」「足の爪って本当に大切なのね~」と嬉しいお言葉をいただき、家の中だけだったリハビリを次回は外で行うとのことでした。保湿もさせていただいておりましたので、お薬による乾燥もなく踵までしっとりしておられかゆみもなくなっと言っていただけました。
※ 爪ケアに年齢は関係ないのではないかと思います。きちっとしたケアを行うことで健康な爪になります。
爪白癬の治療と肥厚爪のケアで血行も良くなり、歩きやすくなりました。

《お客様C 男性 80代》

奥様とお2人暮らし。自立者。パソコン講師。ご来店にて爪ケア。
私共の『爪講座』にご参加いただいてからのお付き合いになります。親指が爪白癬の肥厚爪でしかも真横に伸びてしまう変形爪でもありました。「今まで恥ずかしくて人前では靴下を脱ぐことが出来なかったけど、講座で爪のことを知ったら治さないといけないと思ったよ」と話していただきました。爪の厚みはもう何年も前からで爪が変な方向に伸びてきて気になっておられたとのことでした。皮膚科でいただいた爪白癬の処方薬での治療と月に1回の爪ケアを2年継続したのち、3年目からは2ヵ月に1回の頻度で、今ではお付き合いは4年になります。爪白癬ほぼ完治、肥厚爪も通常の薄さになり、爪の変形もだいぶ真っすぐに伸びてきました。あともう少し頑張りましょう! 90代になってもしっかりとした足取りでご来店いただけますようお手伝いいたします。
※ 根気よく続けていただけた結果爪が真っすぐになりました。
爪ケアは毎日コツコツと…が大事です。
もっと早く知っていればともおっしゃっていらしたので私共も発信を続けてまいります。

《お客様D 女性 50代》

主婦。 趣味はマラソン。
爪が黒くなり、厚みも出てきてしまって人前に出せない足になってしまった。とご来店されました。 ほとんどの爪が黒く、内出血もありほとんど爪も割れている状態でした。特に両親指の爪は厚みもあり爪切りでは切りにくい状態でした。 マラソンもかなりの距離を走られておられたようなので、長い間外傷的圧迫があったと思われました。毎月の爪ケアで爪の色も黒から茶へと薄くなり、割れ爪も改善されてきました。
※ マラソンを続けながら足爪をキレイにしたいとのご希望でしたので、当店での爪ケアとご自宅でのケア・靴の見直し(お客様の足に合うスニーカー)をお願いいたしました。後は、足に気になるところが出来た場合はご連絡をいただくことにしております。 なんの我慢もなく趣味や生活をしていただくことが理想なのでこれからもよろしくお願いいたします。 

日常生活の中での予防ケア・注意点について

介護サービスを利用している高齢者の60%以上が足爪の肥厚や変形などのトラブルがあるそうです。 (フットケアのあり方に関する研究委員会より)

とにかく清潔にする。

良く泡立てたソープなどで指の間、指の裏側の付け根や爪まわりなどをやさしく洗う。週に1回はやわらかいブラシで洗うことが理想。

水分の拭き取り

入浴後足全体をタオルで包むように水分を拭き取ります。指の間も水分が残らないように拭き取ります。

保湿をする

洗った後は、ボディクリームやオイルなどで爪から甲、足裏とまんべんなく塗る。

定期的な爪切り

爪が伸びてから切るのではなく2週間に1度などの周期を決めて切る。
爪が薄い方はファイル(爪ヤスリ)で整えると良い入浴後など爪がやわらかい状態で切る。

足裏、指まわりをチェックする。

白濁していないか? タコ・鶏眼はないか? 傷はないか? 水泡は出来ていないか?

足に合った靴を履く。

靴による圧迫・摩擦により爪の肥厚、変形をおこしてしまう。

爪の色を確認

白濁していたり、黄色もしくは、白い点・線がある場合は爪白癬の可能性がある紫斑は出血を示します。スポーツや物を爪の上に落とすなど急性の外傷。

靴などの圧迫による慢性の外傷

これらのことを行っていただくだけで、ご自身の足が今どのようになっているのかが分かると思います。
※ 爪周りなどに出血・炎症・痛み・かゆみがある場合は皮膚科への受診をおすすめいたします。
足の健康に一番大切なことは、まず自分の足を触り、見ることからはじまります。

保有資格

巻き爪の症例は500以上、ペディグラス社『巻き爪補正士』、東京フットケア協会所属、足育研究会会員、下北沢病院『足の番人 シルバーランク取得』

まとめ

ご高齢の方はどうしても、迷惑をかけられない・足を見せることが恥ずかしい・足に興味がない・足に関して誰に相談していいか分からない。などの理由で状態が酷くなってしまう方が多くみられます。一度、ご自身で爪切りは出来ているか?確認していただきたいと思います。爪にトラブルをかかえたままお過ごしになり、いつしか歩くことも嫌になり引きこもってしまう方も少なくありません。人生100年時代と言われておりますが、歩行が出来ることと出来ないのでは同じ人生でもかなり違いが生じてきます。足の爪を整えるだけで歩き方・姿勢も変わってきます。なにより、ご自分の足がキレイになり歩きやすくなったことを何よりも喜んでいただいております。
ほとんどのお客様は人生最後まで自分でトイレには行きたいとおっしゃいます。

どうぞ、ご家族の足の爪を確認してみてください。歩行寿命を伸ばし元気に過ごせる毎日にいたしましょう。