はじめに
日本国内で行われた調査では、10人に1人が爪白癬(つめはくせん:いわゆる水虫菌)であるという報告が寄せられており、1000万人以上の爪白癬患者がいると考えられます。性別や年齢別の罹患率は、女性では60歳代、男性では70歳代が年齢別分布のピークです(2011年次皮膚真菌症疫学調査報告より)このデータを見るととても他人事とは言い切れないです。
足の爪が厚くなると見た目が気になるだけでなく、痛みや日常生活にも支障をきたすことがあります。本記事では、足の爪が厚くなる原因とケアについて詳しく解説していきます。
足の爪が厚くなる主な原因とは?
それぞれの原因について簡潔に説明し、どのような症状が現れるかを紹介します。
爪水虫(真菌感染)
爪水虫(爪白癬)は、白癬菌というカビが爪に感染することで発生します。主な症状には、爪の変色(白色や黄色)、爪の厚みが増す、爪が欠けてしまうなどがあります。かゆみや痛みはあまり感じないことが多いので変化に気付きにくいよういです。
長期間に及ぶ爪の圧迫や爪の摩擦(靴が原因)
靴の圧迫や摩擦によって爪に問題が生じることはよくあります。特に、爪が黒く変色したり、痛みを感じることがあります。
靴のサイズが合っていない
足に合わない靴を履くと、特定の部分に圧力がかかりやすくなります。
硬い素材の靴
革靴や安全靴など、硬い素材の靴は爪に強い圧力をかけることがあります。
高いヒールやつま先が狭い靴、ハイヒールやパンプスなどは、つま先に圧力が集中しやすいです。
加齢による爪の変化
加齢による爪の変化は多くの人が経験する自然な現象です。以下のような変化が見られることが多いです。
縦すじの出現
爪に縦線が入り、触ると凸凹していることがあります。これは加齢による乾燥やストレスが原因です。
割れやすさ
爪の主成分であるケラチンや水分が減少し、弾力性がなくなるため、爪が割れやすくなります。爪が薄くなって、割れたりもします。
乾燥トラブル
爪や爪まわりの乾燥が進み、荒れた皮膚から細菌が入って化膿することもあります。冬の乾燥は肌もカサカサになりますが、同時に爪もカサカサになっています。
厚く硬くなる
爪が厚く硬くなることもあり、特に足の爪で顕著です。
遺伝的要因
爪が厚くなる原因にはいくつかありますが、遺伝的要因もその一つです。家族に肥厚爪(ひこうそう)の傾向がある場合、その影響を受けやすいとされています。遺伝的要因が絡むため、生活習慣の改善だけでは防ぎきれない場合もあります。
外傷によるもの
外傷によって爪が厚くなることはよくあります。例えば、爪の上に重い物を落としたり、強い衝撃を受けたりすると、爪の根元部分にダメージが生じます。このダメージが爪の成長に影響を与え、爪が分厚くなる「肥厚爪(ひこうそう)」の原因となることがあります。
外傷による肥厚爪は、爪の変色や変形も伴うことがあり、見た目だけでなく機能面でも問題が生じることがあります。
足の爪が厚くなるのを防ぐためにできること
日常生活での予防策や習慣を紹介します。
足の衛生管理
白癬(はくせん)を予防するためには、足の衛生管理が非常に重要です。以下のポイントを参考にしてください。
1.毎日足を洗う:足の裏や指の間を石けんで丁寧に洗いましょう。カビは6時間で芽を出しますので、特に指の間は白癬が繁殖しやすい場所ですから泡で洗いましょう。
2.足をしっかり乾かす:洗った後はタオルで足の裏や指の間をしっかり乾かします。湿気が残ると白癬菌が繁殖しやすくなります。
3.通気性の良い靴を履く:蒸れにくい靴を選び、靴下も吸湿性の高い素材を選ぶと良いでしう。場合によっては素足で過ごすのも良いです。
4.靴を交互に履く:同じ靴を毎日履かず、2足以上を交互に履くことで靴の中の湿気を減らします。
5.共有物の管理:バスマットやスリッパは共有しないようにし、定期的に洗濯・消毒を行いましょう。
これらの対策を実践することで、白癬の予防に役立ちます
適切な靴
足に合う靴を選ぶ
足のサイズを正確に測り、適切なサイズの靴を選びましょう。親指が当たらないよう、窮屈なものより少し余裕を持たせる。
インソールを使用する
インソールを使うことで、足の動きを抑え、圧力を分散させることができます。
靴の履き方を見直す
靴紐やベルトをしっかり締めて、足が靴の中で動かないようにすることが重要です。
適切な足への圧力
爪に適切な圧力をかけることは、健康な爪を維持するために重要です。以下のポイントを参考にしてください。
1.正しい歩き方:足の指で地面をしっかりと掴むように歩くことが大切です。これにより、爪に均等な圧力がかかり、爪の健康を保つことができます。
2.適切な靴の選択:靴がきつすぎたり、緩すぎたりしないようにしましょう。適切なフィット感のある靴を選ぶことで、爪に過度な圧力がかかるのを防ぎます。
3.爪の長さの管理:爪を適切な長さに保つことも重要です。深爪や爪が長すぎると、圧力が不均等にかかり、爪の健康に悪影響を与えることがあります。
定期的(適正)な爪のケア
これらの変化を遅らせるためには、内側と外側からのケアが大変重要です。バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な保湿が効果的です。
爪に対する知識を身に着け、実践(ケア)することが足の環境維持への近道です。
足の爪を観察すること
足を洗うときにしっかりと観察する。普段は自分の足の爪はマジマジと見ることはありません。でも入浴の時こそ洗うついでに観察してしまえば、毎回見る癖が養えるかも。
1.色や形の変化:爪の色が黄色や茶色に変わっていないか、形が変形していないかを確認します。
2.爪の厚さ:爪が厚くなっていないか、肥厚していないかをチェックします。
3.割れや剥がれ:爪が割れていたり、剥がれていたりしないかを見ます。
4.巻き爪の有無:爪が内側に巻き込んでいないかを確認します。
5.爪の長さ:爪が伸びすぎていないか、適切な長さに保たれているかを確認します。
これらの観察ポイントを定期的にチェックすることで、爪の健康状態を維持しやすくなります。
厚くなった足の爪のセルフケア方法
自宅でできるケア方法や、市販の製品を紹介します。
爪やすりや爪切りの使い方
爪が厚くなりと爪切りの刃が入らなくなります。厚くても切りやすいニッパーなどを使ってください。
ヤスリは目の粗い鉄製のヤスリが削り易いです。
市販の爪水虫治療薬
市販品の爪水虫治療薬は爪が厚くなる前のタイミングでの使用が望ましいです。
クリームと液体の二つのタイプがありますので使用目的で選んでください。
足浴や保湿の方法
足浴は爪の衛生状態を良くする手段で入浴ができない時などは積極的に行った方が良いです。洗った後はしっかり乾かして、保湿クリームやローション、ヘパリン類似物質ローションやワセリンなどを使って、爪とその周りの皮膚を保湿します。オイルはティーツリーオイルやユーカリ油などの抗真菌作用のあるオイルを使用することも効果的です。
※爪切りや爪やすりは血が出てしまう事も、状況に応じて専門家へご相談ください。
専門家のケア方法
皮膚科での治療方法
爪の削り
専用のマシンを使って、厚くなった爪を削る方法です。これにより、爪の厚みを減らし、痛みや不快感を軽減します。毎回、削って爪が厚くなることを抑えていきます。
爪甲除去手術
重度の場合、麻酔をかけて爪を根元から除去し、新しい爪が正常に生えるようにする手術が行われることがあります。
テーピング法
爪の変形を矯正するために、治療用のテープを使用して爪を固定する方法です。
薬物療法
治療には、抗真菌薬の内服薬や外用薬が使われます。内服薬は3ヶ月以上の服用が必要な場合が多く、治療中は定期的な採血が必要になることもあります。また、治療を自己判断で中止せず、医師の指示に従って続けることが重要です。爪水虫が疑われる場合は、皮膚科や感染症内科を受診することをお勧めします。
■外用薬(塗り薬)
・エフィナコナゾール(製品名:クレナフィン爪外用液10%)
・ルリコナゾール(製品名:ルコナック爪外用液5%)
■内服薬(飲み薬)
・イトラコナゾール(製品名:イトリゾールカプセル50など)
・テルビナフィン(製品名:ラミシール錠125mgなど)
・ホスラブコナゾール(製品名:ネイリンカプセル100㎎)
フットケアサービスでのケア
専門のフットケアサービスは足浴を行い、爪を整え、必要であれば角質のケアも行い、最後に保湿までしてくれます。医療保険は効かず、自費でのサービスなので予算との相談になります。
弊社88Realizerによるケア(歩けない方への訪問ケア)
弊社のケアは『歩ける爪を育てる』を重点にケアします。ただ切るだけではなく、その方のADLに合った爪を取り戻すことをお手伝いさせていただいてます。
爪が厚くなると靴が履けない、歩くたびに痛みが生じるなんて事になると本来の生活に支障が出てしまいます。歩けない原因が爪にあるなら、まずは爪からくる痛みを探ります。そして原因が厚みであれば、靴に当たらないよう本来の厚みまで薄くなるよう削ります。表面を均すように全体を削って、さらに不要部分は短くカットします。この時点で靴は履きやすくなり、靴の圧迫は無くなります。
このときのケアとしては爪を薄くする、不要部分は今後の爪の成長を妨げないよう短くカット、生える向きを考慮して爪の道を作る、不衛生にならないよう角質の除去、ヤスリ掛けで爪断面の強化とエッジを落とす、爪床の保湿と多岐にわたる細かいケアを行います。
もちろん一般のフットケアと同じ内容は行います。痛みのある方は訪問でケアを受けていただけますので、通うことはないので安心して家で待っていただけます。
訪問ケアの良い所
『痛みが出てしまった』『筋力低下で出かけられない』こんな時こそ家に居ながらケアを受けていただくことをおすすめします。
訪問してもらえるのであれば、お客様の希望に沿った日時でお伺いしますので、家でくつろいで待っていただくだけで、労力を使わずに住み慣れた我が家でリラックスして、施術を受けていただけます。
訪問費が掛かりますが、電車バスやタクシーを駆使した場合より安く済む可能性もあります。初回で出かける際は場所を下調べしないとならない、迷って辿り着けるかなんて心配も不要です。
訪問ケアの注意点
訪問の際、初回ではカウンセリングを行い、痛みの箇所や爪の厚みなどを見させていただきます。準備や施術を含み、30~60分の時間をみていただきます。長時間で疲れないように背もたれのある椅子やソファで楽な姿勢で施術を受けていただくことが望まれます。使用でお借りするものは『洗面所の40℃のお湯』『新聞紙1枚』『足を拭くタオル』この三点になります。
88Realizerの訪問ケアが安心できる所
様々な症例を施術してきた爪のプロがお伺いしますので、お困りごとを解決し一緒に爪を育てて、痛みのない生活に戻れるようお手伝いをします。カウンセリングやアドバイスもできますし、本来の爪にどのように戻していくかもお伝えし、質問にもお答えしていき不安を解消します。
スタッフは介護に従事していたので、高齢者様の身体や既往歴などを考慮して、その人に合わせた対応も心掛けてます。認知症の方や寝たきりでのベッド生活の方でも安心してケアを受けていただけます。スタッフは男性女性と在籍してますので、同性介助の希望も承れます。
よくある質問
セルフケアと専門家のケアどちらを選ぶべきですか?
セルフケアでも限界があります。専門の道具や知識をもって対処できることに越したことはありませんが、やはり自身でできる範囲には限りがあります。
まずは専門家でケアを受けてみて、爪の状態に改善傾向が見られたら、セルフケアも兼ねていくのが良いと思います。お客様の方が毎日、爪に向き合うことになりますので、自身でできるケアは行ってもらった方が、爪がキレイになるのも早いです。
治療は痛いですか
痛みはございません。ただ、爪周りの角質を除去する際に細い器具を使用させていただきますので、少し痛く感じる場合があります。
あとはネイルマシンで爪表面を削った際の振動に違和感が出て、痛みに感じてしまうかもしれません。
料金はどれくらいかかりますか?
1回4,400円(税込)で『足浴』『爪切り』『オイルトリートメント』が含まれてます。訪問費は1,650円(税込)になります。
何回くらいでキレイになりますか?
一回目で痛みの原因は取り除くようにします。その後は爪の伸び具合に依りますが、だいたい三回目くらいからキレイな見た目になっていきます。爪の生え変わるサイクルは約一年になりますので、不要な爪は切って、新しい爪を早く伸ばすことで本来の爪を取り戻せます。
まとめ
爪水虫は命にかかわらない疾患として、たかが爪と侮られがちです。しかし、爪の肥厚や変形が高齢者の起立や歩行障害、転倒事故の原因になるとの研究報告も寄せられています。かゆみや痛みなど自覚症状がでることはあまりない爪水虫ですが、その厚みが異常と思ったら、専門のフットケアサービスを利用を視野に入れたり、重症化する前に皮膚科専門医に相談しましょう。
現状、セルフケアが難しい場合は、無理をせずお気軽にご相談ください。